令和8年度の診療報酬改定から広がる話題〜今回の改定はメンクリ狙い撃ち?

お久しぶりです。 たつみです。

ブログの更新がだいぶ途絶えてしまい大変申し訳ありません。
今年の目標は「ブログは週1更新」だったのですが、この2月、3月は研究や後輩たちの専門医レポートや指定医レポートの添削など、忙しくてブログに割く時間が捻出できませんでした。

また少しずつ時間をみつけて、ブログを更新していきますので、またお付き合いいただけたら嬉しいです。

自分がブログを更新していない間に精神科界隈には割と大きな話題がありました。

それは診療報酬改訂です。

皆さんもXを見ているのであれば、僕だけでなく色んな精神科医がこの話題に触れているのを目にしたと思います。

当初は診療報酬の話題でしたが、そこから話題はさらに広がって

  • 乱立するメンタルクリニックにメスが入った
  • 精神保健指定医 vs 非指定医〜非指定医でもすごい先生はいるという問題
  • 児童精神問題〜発達障害をみている小児科医はどうなんだ、という問題

など、いくつかの議論が広がっています。

ただ、これらを一度に全部話すとややこしくなるので、今回はまず改定の内容と今の精神科クリニックの現状について僕なりの考えをお話できたらと思います。

目次

どう変わったのか

令和8年度診療報酬改定

他にも色んな改定点があったのですが、基本的に話題の中心はこの画像ですね。

ざっくりいうと、

  • 精神保健指定医の初診の点数は60分以上の場合はUP⤴️
  • 非指定医の初診の点数40%カット⤵️

となりました。

指定医の点数アップに関しては素直に嬉しいですね。微々たるものではありますが、嬉しいものです。
そこよりも、今回話題になったのは、この「非指定医の初診点数40%カット」になります。

40%カットってやばいです
今までと同じ働き方、同じ頑張りでも今までの60%しか収益を上げられないわけですから。

そもそも精神保健指定医ってなに?

この記事から見始めた方もいるかと思いますので、改めて説明いたしますが、

精神保健指定医は、国が認めた資格で、これを持っていると医療保護入院や措置入院といった特殊な入院方法や、入院中の患者さんの隔離拘束という行動制限の指示をできるようになります。

これはかなりざっくりとした説明でにはなりますが、詳しくは以前自分が記載した記事である「私たつみ、精神保健指定医になりました‼️~にしてもそんな喜ぶ?〜」をご参照いただけたらと思います。

指定医は精神科医ならだれでも取れるというわけではなくて、

精神科の勤務歴3年+精神科の急性期治療(措置入院)の経験」がある人で、試験を合格した人のみ取得できます。

つまり

精神保健指定医を持っている=精神科病院での勤務経験があり、激しい状態の精神科患者の診療経験がある」というわかりやすい証明になります。

メンタルクリニック狙い撃ちの改定?

今回の改定でよく言われているのは

大手のチェーンメンタルクリニックにメスが入ったね

という意見です。実際にこれはそうなんだろうなと思います。

昨今のメンタルクリニックの問題

最近メンタルクリニック多いですよね。
みなさんも街を歩いていたらよく見かけるのではないかなと思います。

ちょっと前は、「歯医者の数はコンビニよりも多い」みたいな話もありましたが、
このままいくと「精神科クリニックの数はコンビニよりも多い」みたいに言われる時代が来るのではないかと危惧するほどです。

ただ、国として問題視しているのは、精神科クリニックが増えていることではないと思います。

国が問題視しているのは「質の悪い精神科クリニックが乱立している」ことにあります。

なぜ精神科のクリニックだけ質が問われるのか?

ここが肝なところです。それは一部のメンタルクリニックでは
精神科医としての勤務歴がほとんどない医師が、精神科医として勤務している」という問題があります。

これは一部の診療分野ではよくある問題で、「訪問診療分野」などでも似たような構造があります。

  • ほとんど精神科医の勤務歴のない人間が、マニュアル通りの処方を出す。
  • 即日診断書発行」を謳い、「休職するために診断書が欲しい層」を集めて、収益をあげる。

というやり方で精神科勤務歴のない医師を大量に雇って収益を上げているクリニックが結構あります。

そのマニュアル自体にも問題がありますし、そもそも診断が間違っていることも結構多いというのが実情です。
まさに診療の質の問題ですよね。

そこで今回質の担保という目的で「非指定医の診療報酬カット」という措置になったのだと思います。

そもそも、

なぜ精神科や訪問診療分野だけ、勤務経験がなくても働くことができるのか

という話があるのですが、この問題は、これだけで複数の記事がかけるような根深い問題なのでここでは触れないでおきます。

もし気になる方がいれば、また別の記事で書きますので、コメントやXのリプライで教えてください。

実は既存の精神科クリニックにも圧はかけられている…かも?

今回の改定はこの非指定医の点数削減の話題ばかりが取り上げられていますが、
他の診療報酬改定のページを見ていると、
実は「既存のメンタルクリニックにもちょっと圧をかけているかも?」という改定項目があります。

それが「早期診療体制充実加算の見直し」という項目です。

Screenshot

これはざっくりというと、「初診の患者を一定数診療したら施設の加算として報酬をちょっと上げるよ」という改定です。

僕は、これが精神科クリニックに対しての圧なのではないか、と思っています。

お前ら自称ちゃんとしたメンタルクリニック(笑)は初診取らないじゃん問題

かなりむかつく見出しですね。

僕は今はただの勤務医なので、ある種中立の立場で書きたいなと思っています。
その上で一方だけを批判するのもちょっと、と思いこんな見出しにしました。

でも多分厚労省はここも大きく問題視しているんですよね。

そもそもチェーンメンタルクリニックがここまで増えたのは

  • 昨今の精神科診療の需要の増加
  • 既存のメンタルクリニックの初診枠の少なさ

といういわゆる需要と供給のバランスの不均衡の問題に目をつけたからという経緯があります。

精神科を受診したい、でもどこも受診は1、2ヶ月待ち。という行き場のない層を集めた形になるんですよね。

多くの既存メンタルクリニックの収益のあげ方

既存のメンタルクリニックの多くが、

初診はほどほどに、再診の患者さんをメインに診て収益を上げている

というスタイルで運営されています。

これはかなりざっくりとした説明ですが、わかりやすさを優先してこのように書いてます。
(これはこれで結構ややこしい問題があります。)


開業当初は当然たくさん初診をみるのですが、
ある程度の患者が溜まってきたら、初診の患者の枠は減らして再来の患者を診る、
というやり方で運営をしています。

でもこれは悪いというか仕方のない面もあるんですよね。

診療時間は決められていますし、医者一人で診られる数には限りがあります。
毎回初診の方を診てどんどん患者数が増えてきたら、やがてはパンクしてしまいます。

一人一人の診療が雑になってしまう可能性もありますしね。

まあ、一人一人に時間をかけているからといって、別に丁寧に見ているというわけでもありませんが…
(ここで毒をひとつまみ)

今回の改定は「初診を診れば加算」という形ではありますが、
いずれ「初診を診ないと減算」に突然転じる可能性もあります。

既存のメンタルクリニックもどうなるかわかりませんね。

先がどうなるかわからない精神科診療

今回の改定は、「一部のクリニックにメスが入った」という単純な話ではなく、

・質の担保が不十分な参入に対する是正
・初診をあまり担ってこなかった既存クリニックへの圧

この両方に対して同時に働いているものだと考えています。

ただ、制度が変わったからといって、すぐに現場がうまく回るようになるわけではありません。

その中で、「誰が初診を担うのか」「どうやって質を担保していくのか」という問題は、
これからの精神科医療において避けては通れないテーマになっていくのではないでしょうか。

今回は診療報酬改定の話と、今の精神科医療の現状についてでした。

次は精神保健指定医と非指定医論争について話をしていきたいなと思います。

ではまた。

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