こんにちはたつみです。
今回からまた、精神科の病気についての記事をまとめていこうと思います。
テーマは「双極性障害」です。
この病気は某女優さんの一件で一気に話題になりましたね。
精神科医としても、この病気が注目されることはとても意義のあることだと感じています。
この記事では、「双極性障害」とはそもそもどんな病気なのか、
そして、似ているようで違う「うつ病」との違いについて、
ざっくりとお話しできればと思います。
双極性障害とはどんな病気?うつ病との違いは?
双極性障害ってなに?
双極性障害は、「気分が異常に高まる時期(躁状態)」と「気分がひどく落ち込む時期(うつ状態)」が繰り返される病気です。以前は「躁うつ病」とも呼ばれていました。
「うつ病」との違いは?

うつ病は、気分が落ち込む状態が続くのに対して、
双極性障害は、「落ち込む時もあれば逆に気分が上がる時もある」という違いがあります。
こういう話をすると

僕も落ち込む時もあれば、テンション高い時もあるよ?
病気ってこと?
と言った声をよくいただきます。
気分の波は誰にでもあります。それ自体は別に双極性障害ではありません。
「どれくらい極端に落ち込んでいるのか、どれくらい不自然にテンションが高いのか」が大事です。
基本的には、周囲から見て「明らかにおかしい」と感じられるかどうかが、病気の判断のポイントになります。
うつ病との治療の違い


上の図は、それぞれの治療のイメージです。
うつ病の治療は、落ち込んだ気分を上げるために抗うつ薬を使います。
一方双極性障害の場合は少し違います。
双極性障害の治療は、上下の気分の幅を抑えるために気分安定薬という薬を使います。
あとはそれに加えて抗精神病薬を使うことがあります。



双極性障害の人も気分が落ちるんでしょ?
抗うつ薬を使ったらいいじゃん。



双極性障害の治療で抗うつ薬はあまり使いません。
使うにしても慎重にする必要があります。
双極性障害の人は簡単に言えば「上がりやすく、下がりやすい人」です。
そのような方に抗うつ薬を使うと、気分が急に上がり過ぎてしまって躁状態になる可能性があります。


なので使用には注意が必要です。
双極性障害の症状は?
うつ状態は?
うつ状態はうつ病の方の気分の落ち込みと大体同じです。ここでは説明は省かせてもらいます。
詳しくは「気付いてほしいうつ病のサイン〜うつの症状と雰囲気を知ろう〜」をご覧いただければと思います。
躁状態ってどんな状態?
躁状態は、「とにかく気分が上がって、エネルギーに溢れている。なんでも出来そうと感じる状態」です。


イメージとしてはこんな感じです。
躁状態の方が具体的にどのような症状、行動が出るかというと
- 寝なくても元気(不眠)
- 次から次へとアイデアが出る
- しゃべりだしたら止まらない
- お金を使いすぎる
- 性的に奔放になる
- 自分はなんでもできる気がする(誇大妄想)
このような症状が出てきます。



次から次にアイデアが出たり、
寝なくても元気なら良いことじゃない?



一見するとそうですね。
確かに、起業家などの中には双極性障害の傾向がある方もいるという報告はあります。
ただ、それが必ずしも良い方向に働くとは限りません。
そもそも、寝なくても元気というのは、無限の体力を得たわけではありません。
体の疲れに気づかなくなったというだけです。
また、アイデアが次々に出るといっても、
根拠に乏しい突飛な発想であることが多く、
失敗してしまうことの方が多いのです。
躁状態の様子は大きく分けて2パターン
躁状態の方の様子を分けるなら、大きく分けて2パターンになります。
- とにかくニコニコして明るく、ハイテンションなタイプ
- 怒りっぽく、高圧的で他人を攻撃するタイプ
臨床の感覚では、臨床の感覚では、前者は女性に多く、後者は男性に多い傾向があります。
具体例があった方がわかりやすいと思うので、
また別の記事で、私が実際に経験した患者さんとのエピソードをご紹介できればと思います。
どんな人がなりやすいの?
うつ病が40代〜50代で多いのに対し、
双極性障害は20代〜30代前半の若い時期に発症しやすいとされています。
どうしてなるの?
双極性障害になる原因は、まだはっきりとはわかっていません。
脳の働きや遺伝的な体質、ストレスなどが複雑に関係していると考えられています。
実はこの病気、精神科の中でも特に仕組みがよくわかっていない病気のひとつなんです。
そのため、精神科医も慎重に、そして丁寧に治療を行う必要があります。
おわりに
今回は、双極性障害について、全体的な概要をざっくりとお話ししました。
まだまだ伝えたいことはたくさんあるので、今後の記事で少しずつ掘り下げていければと思います。
「この部分をもっと知りたい」「こういう内容も取り上げてほしい」
といったご要望があれば、コメントなどで教えていただけると嬉しいです。
では、また次回の記事でお会いしましょう。
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