うつ病で入院したら?入院中の治療の流れをやさしく解説します。

こんにちは、たつみです。

前回までのブログでは、うつ病の症状や休養の大切さについてお伝えしてきました。今回は入院中の治療の流れについてお話ししていこうと思います。
精神科の入院と聞くと、不安に感じたり、「なんだか怖そう…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも実際は、安心して治療に専念できる場所でもあります。その雰囲気が少しでも伝われば嬉しいです。

目次

入院してからの流れ

入院してすぐ

まず入院して最初にすることは「ゆっくり休むこと」です。
「外来と同じやないかい」と思われるかもしれませんが、とても大事なことです。
「強制的に休める環境」を提供すること、これがうつ病の方における入院の強みです。
お仕事をされている方は職場に休職の診断書を提出して、休職した上で入院となることがほとんどですね。

何かしなきゃ、人に迷惑をかけてしまう。すぐに仕事をしなきゃ

たつみ

まあ、今は休職中ですし、仕事も病院内ではできませんから
ゆっくりしましょう。

これが病院の強みです。無理やり仕事などから引き離すことができ、休む以外の選択肢がなくなるのです。
1、2週間はお薬の効果もまだ出てこないので、副作用がないかの確認が入院治療のメインですね。
この時期の診察は、ゆっくり休めるように簡単な状態評価や副作用の評価のみにしています。

入院中期

この時期は人によりますが大体入院して1ヶ月後くらいを想定しています。

この時期になると内服している抗うつ薬の量が調整されていて、今使っている薬があっているかどうかという評価ができます。
あっているのであれば、お薬はそのまま、もう少しお薬の調整が必要であれば、症状を見て適宜お薬を調整するという段階に移ります。

今回はお薬があっていたパターンを想定します。

この時期になると少し病状が落ち着いてきています。まだ不安な気持ちや不眠の症状はありますが、お話はできるようになっている状態です。また入院時の最悪の時期を少し振り返られるようになってきます。

この時期になると診察中にもう少し深いお話しをすることができるようになります。

たつみ

どうでしょうか、不安な気持ちは減ってきましたか?

前よりかは減りました。まだゼロではないですが。
入院の時は明らかにおかしい状態でした。
頭も働いていなかったし、正直入院したときのことは覚えてないです。
今は頭も働くようになりました。まだ本調子ではないですが

この状態まで改善したら、患者さんと相談して日中の活動として心理療法を提案することがあります。
うつ病の人は人に頼ることができないことや、ストレスを発散せずに自分の中で溜め込むことが多いというお話しを以前の記事でしたと思います。

その考えの裏には
「人に頼ると迷惑をかけてしまう。」
「自分が耐えればうまくいく」
というある種独特な考え方があります。この考え方を「認知の歪み」と言います。

例えばまた仕事に復職する場合、この認知の歪みを抱えたまま人に頼ることができないままでいると、うつ病がまた悪くなる可能性があるので再発予防としても効果があります。

ただ認知の歪みは一朝一夕で変わるものではありません。急に考え方を変えろと言われても難しいですよね。
なので入院中にこの考え方を完全に変えるということを目標にはしません。「こう考えるのはどうでしょう」という風に新しい考え方をご提案するくらいでしょうか。

その場で結果は出なくとも、その時に言われた考え方がいつかどこかで芽を出すこともあるのです。
「他の考え方があるかも?」と知ることだけでも大事だと僕は思います。
なので結果を焦ることは禁物です。医療者も、患者さんも。

入院終盤〜退院まで

お薬が効いていて、しっかり休むことができれば2ヶ月経つ頃にはうつ病は大きく改善します。

たつみ

入院時と比べると笑顔も増えて不安になる時間もだいぶ減りましたね。
ご自身ではどう思われますか?

そうですね。入院時に比べるとだいぶ楽になりました。
不安になることもないわけではないですが、そこまで頻度はないですし
退院とかしてもいいのかなと思います。

たつみ

良いですね。僕も退院は可能と思います。
退院に向けて調整をしていきましょう。

退院が見えてきた場合、じゃあすぐ退院ということはあまり望ましくないので、

  • 退院後に訪問看護等の必要な支援はないか?
  • 自分の不調にすぐに気づけるように、不調の前兆はないか

など、再発を予防する、再発にすぐ気づけるように対策を立てます。

それが落ち着いたら退院です。

退院後

無事ご自宅への退院となりました。
ここで注意なのですが

退院=復職ではありません!!

でも調子も戻りましたし、職場に早く戻らないと迷惑かけちゃうから…

たつみ

厳しい言い方ですが、
今調子が良い状態を維持できたのは病院の中だけです。
退院した後はお家でその状態が維持できるかを確認する必要があります

厳しい言い方ですが、今現在調子が良いのは入院という状況だけなのです。入院というのは、困った時や不安な時は看護師さんや主治医がいて話すことができて、なおかつ仕事はしなくて良い状況です。

ですが自宅に戻ると主治医も看護師さんもいません。家事は自分でしなければいけないことが多いはずです。ご家族と一緒に暮らしていても完全に何もしなくて良い状況というのはあまりないはずです。

ご自宅であっても、変化は変化です。その変化で問題ないことを確認できてから職場への復帰を考えましょう。

でも…

たつみ

焦る気持ちはわかります。ですが無理に復帰した結果うつ病がまた悪くなった場合、またお休みすることになってしまいます

焦った復職は、やっぱり危険です。その結果無理してしまいまた調子を崩すということは少なくないのです。
ですので焦らず、お家の生活に慣れてから復職をしましょう。

また復職が決まってからも焦らずにいきましょう。
職場によってはリワークという復職に向けたプログラムもあるのでそちらの利用も考えても良いと思います。

退院後は外来に来た方がいいの?

うつ病は他の統合失調症や双極性障害に比べてお薬をやめられる可能性は高いですが、基本的にはお薬は継続された方が良いと思います。

職場に復帰されて数ヶ月安定した状態を維持できた場合に、外来で慎重にお薬を減らしていくということは試しても良いかもしれません。

ただ基本的にはお薬をやめると悪化する方が多いのも実情です。

僕患者さんに言われたら極力その意向は尊重したいですが、難しい場合は難しいと僕はお伝えしています。

ただお薬をどうするかという希望を伝えることは悪いことではありませんので、主治医と相談してみてください。

そして絶対に主治医に内緒でお薬をやめないでください‼️

それだけは、本当に大切なことなのでぜひお願いします。僕との約束ですよ。(勝手な約束ですが)

まとめ

どうでしょうか、うつ病の方の入院治療の流れなんとなくイメージがつきましたか?

いかがでしたでか?
「入院する」とは、とても大きなことですよね。
ですが、必要なときにしっかりと休み、治療に集中できる貴重な時間なのです。
今回の内容が、入院についての不安や疑問を少しでも和らげるきっかけになれば幸いです。

ではまた。

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