
こんにちは、たつみです。
今回は診療報酬改定から、思わぬところに飛び火した結果生じた「児童精神〜小児科、精神科どっちが見るべきか」について僕の思うところを書いていこうと思います。
もう詳細は省きますが、「非指定医の通院精神療法の報酬40%カット」から派生した話です。
正直今回の診療報酬改定が小児科の先生にも影響があるとは思っていなかったので、結構な驚きでした。
小児科にも影響があったという驚き
今回の改定を見ていて、個人的に一番驚いたのは
小児科の先生方にも影響が出ていたことでした。
発達障害の子どもを小児科の先生が診ていることは僕も知っていました。
僕が驚いたのは、
発達障害を小児科で診ているパターンでも、「通院精神療法」で算定をとっている
という事実です。
驚きというか、なんとなく「通院精神療法=精神科外来の報酬」と捉えていたので、
他の科の先生が算定をとっている可能性を完全に失念していました。
通院精神療法って何なのか
我ながら今更感がすごいですが、ここで少しだけ整理しておくと、
通院精神療法というのには条件があります。
- 精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が
- 精神疾患または精神症状に対して行う外来診療
に対して「通院精神療法」という報酬が発生します。
これでもかなりざっくりした説明なのですが、さらに簡単に言うならば
たつみ精神科医が行った外来は通院精神療法‼️
なぜ小児科でも通院精神療法が算定されているのか



じゃあ、小児科の先生は影響ないんじゃないの?
精神科医の報酬なんでしょう?
と、思われた方。大変鋭い。というかこれが僕が完全に失念していた理由です。
制度上、科の区切りなどない
これは日本の医療制度の問題で、
「自分が何科の医師なのか、医者は自由に名乗っていい(標榜していい)」
という現状があります。正確には名乗っていいというよりかは、制限する制度がないんですよね。
なので極端な話、僕はいま「精神科医たつみ」として活動していますが、
今この瞬間から、
「精神科医・内科医・外科医たつみ」
と名乗っても特に罰則はありません。全然名乗れます。
まあ倫理的な問題と、それで実際に心筋梗塞の人とから来られても困るのでしませんが。
Xでもなんか胡散臭い精神科の先生が居ますけど、一部はこれを悪用している人がいますね。
それこそ、今回の診療報酬改定がこのような厳しいものになったのも、
「精神科の診療経験がないのに精神科医を名乗る医師に対しての対策」という側面がありますからね。
さて、話が脱線したので、戻しましょう。
精神科の標榜をしている小児科の先生もいる
なので今回通院精神療法の改定に異議を唱えている小児科の先生は、
児童の発達障害を診るにあたり、精神科を標榜している小児科の先生、なのではないかと思います。
小児科の診療報酬はわかりませんが、おそらく児童の発達障害を見るにあたっては通院精神療法の方が報酬が高いのかもしれませんね。それも当然な気もします。
基本小児科の外来は短時間でたくさん診ていくという形ではありますが、
発達障害の外来は時間がかかります。
小児科や内科の診察には診察時間を考慮した診療報酬は無いと思われますので、
通院精神療法として算定しないと、やっていけないのだと思います。
ちなみに、僕はこういう事情の標榜に関しては否定的立場ではありません。
というか、発達障害のように、
小児科と精神科のどちらも関わる可能性が児童精神の疾患に対して、大人と同じような診療報酬を当てはめている現状が問題だろ。
と思っています。
ただこういう話題になると
小児科と精神科、どっちで発達障害の相談をすれば良いのか?
という問題が出てきますので、その点を整理していきましょう。
小児科と精神科、それぞれの強み
この問題について考えるとき、
「どちらが診るべきか」という二択で考えるよりも、
まずはそれぞれの強みを整理していきましょう。
小児科の強みは「身体に強いこと」と「健診で多数の子どもをみていること」
例えば、子どもの生活上の困りごとの裏には
- 発達特性の問題
- 起立性調節障害のような身体的な問題
- 内分泌、いわゆるホルモンの異常
- ミネラルバランスの問題
など、さまざまな可能性が考えられます。
こうした身体面の評価を含めて診ることができるのは、
小児科の大きな強みです。
あとは、1歳児検診、2歳児検診など、子どもの検診は小児科の先生がされています。
その際に自閉症やADHDや発達などのスクリーニングもしていただいていますが、
- 健診から、診療までシームレスに関われること
- 通常発達の子も含めて多数の子どもをみていること
これもまた小児科の先生の強みではないかと思います。
特に後者は地味に大きい点じゃ無いかなと思います。
精神科の場合は、
「保育園や学校で困りごとがある」など、
何らかの問題が顕在化してから受診につながることが多くなります。
そのため、
通常発達の子どもを多数診る機会は、実はそこまで多くありません。
発達特性を疑って受診したものの、実際には発達に問題がなかった。というケースもありますが、
頻度としてはそこまで多くはありませんしね。
その結果として、
精神科医の評価は無意識のうちに
「特性のある子どもたちの中での比較」になりやすい
という偏りは、精神科医である自分からしてもあると思います。
なので、時たま



うちの子大丈夫でしょうか。



全然大丈夫ですよ。
もっと凄い子もいますから。



先生はそういうけど、
クラスだと明らかにうちの子だけ浮いているんですけど
というやりとりが外来で生まれることもありますね。
もちろん、「うちの子だけじゃないんだ」って安心されることもあるので一概に悪いわけでは無いですけどね。


あと、もう一つ小児科の強みの一つとしては「心理的受診ハードルが低い」ということですね。



精神科〜?
別にうちの子はおかしくないけど
となる親御さんは少なくありません。
精神科への偏見は多少減ってきましたが、未だ完全には払拭されていませんからね。
小児科の方が受診しやすいという親御さんも多いでしょう。
精神科の強みは「他の精神疾患との鑑別」「大人になった際の困りごとが予測できる」
一方で精神科は、
- 将来的にどのような精神症状が出てくる可能性があるかの予測
- うつ病や統合失調症などの精神疾患の鑑別
- 発達障害に別の心理ストレスや精神疾患が重なった場合
といった、他の精神疾患との鑑別や複合症例の対応ができるという強みがあります。
また、発達特性を持った方が大人になってから、
職場や社会でどのような困難に直面するのかを日常的に診ています。
そのため、
「将来つまずきやすいポイントを見越して、子どものうちにどこを大切にするか」
という観点で診察できるのも、精神科の強みだと思います。
あとは医療保護入院などの入院形態がとれるので、いざとなったら入院が出来ることも精神科の強みですね。
どちらが診るべきか、という問いについて
どちらが診るべきかという問題は難しいですが、
個人的には
- 未就学児や小学生→小児科でも精神科でもOK
- 身体症状がある→小児科の方が良い
- 中学生・高校生+身体症状がない→精神科の方が良い
と、考えています。
未就学児や小学生の場合は、「発達特性等の評価をしながら支援の調整をする」ことがメインの治療になります。
そこは小児科医でも精神科医でもどちらでも対応が可能です。
身体症状に関しては小児科の先生の方がお詳しいので小児科の方が良いと思います。
中学生・高校生になると精神科医が望ましい理由は、この年齢になってくると「統合失調症」や「うつ病」などの精神科疾患のリスクや、「自殺」というリスクが高まってきます。
それらの鑑別や対応は精神科ではないと難しいとので、中高生以上は精神科の方が向いているでしょう。



これを見ると、精神科の先生だけでも発達障害は診れるんだよね。
体の問題もあれば小児科の先生が対応したほうがよいってだけで。
…小児科の先生はいつも通り子どもの体を診て、
発達障害系は年齢問わず精神科の先生が診ればいいんじゃないの?



ばれましたか…
正味その通りです
小児科の方が受診ハードルが低いということと、健診からのシームレスに診療に繋げられるという小児科の強みは嘘ではありません。これは本当に小児科の先生の強みだと感じています。
ただ、誤解を恐れず言うのであれば、体の要因さえ絡まなければ精神科で児童精神は完結できます。
となると、
理屈だけで言えば精神科で完結するはずなのに、なぜ現実では小児科の方が多く診ているのか?
という当然の疑問が湧いてきます。
結局その答えは「精神科が初診取らないやん」問題に戻ってきます。
結局精神科の初診問題に帰ってくる
結局この問題に戻ってくるんですよね。
成人もそうなんですけど、さらに児童精神科は更に精神科の初診が取れないという現状があります。
自分が昔派遣された病院の児童精神の先生は



児童の初診は半年〜1年待ちだねえ



え、子どもで半年〜1年経ったら
すでに別の問題が起きてるだろ?
ということもありました。
今僕が非常勤で勤務している病院は緊急度が高いものは1ヶ月以内で児童の初診に繋げられるので、
凄い病院だなと感じています。
このように児童精神の初診は半年待ちが当たり前の現状があります。
小児科の先生方がどのようなモチベーションで発達外来を担っておられるのか、
僕自身すべてを理解しているわけではありませんが、
おそらくは、今回の診療報酬改定に対して小児科の先生が思うところとしては



お前ら精神科が子どもの発達障害を診てないから
代わりに小児科が診てるんだろうが‼️
なんで俺らが被害を受けないといけないんだ‼️
と、思われているんじゃないかなと思います。



それはほんともう、返す言葉もありません。
これに関しては、精神科医は考える必要があると思います。
精神科の問題を小児科の先生に押し付けている、とも言えますから。
今後どうなるのか児童精神
実際どうなるんでしょうね。
個人的には児童精神の問題にはもっとメスが入ってほしいなと思います。
とはいえ、今自分ができることは、子どもの新患をなる早で診るということしか出来ないんですけどね。
ぶっちゃけ、児童精神の診療報酬をもっと上げてくれれば精神科病院もどこも児童精神始めると思うんですけどね。
今多くの精神科病院赤字ですし。
…最後は愚痴っぽくなってしまいましたが、
これで令和8年度の診療報酬改定についての話題は終わりです。
次は児童精神の実情について書くか、Xで気になった話題について書くか悩んでいますが、
また近く更新しようかなと思います。
ではまた。







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