カウンセリングは、本当に「やさしい治療」なのか?

こんにちは、たつみです。

今回はカウンセリングについて話していこうかなと思います。

精神科の外来で時々あることなのですが、

精神科の薬は怖いので、カウンセリングをしてください

たつみ

カウンセリングですか…

こんなやりとりがあります。

薬じゃなくてカウンセリングを、というご希望は多いですね。

カウンセリングはいいからこの薬をだしてほしい、という希望も同じくらい多いんですけどね。

治療における「」と「カウンセリング」について、
精神科医と患者さんの間には大きなギャップがあります。

そのギャップが少しでも和らげばいいなと思い、今回この記事を書きました。

カウンセラーが行うカウンセリングと、精神科医が行う精神療法は、
厳密には少しニュアンスが異なります。ただしこの記事では、
わかりやすさを優先して、どちらも「カウンセリング」として扱います。

目次

精神科の薬は、危ないもの?

精神科の薬は怖いですよね。
薬の効果も、薬の副作用もなんとなく他の科の薬と比べてハードそうです。

よくわかんない怪しい薬」というイメージをお持ちの方も多いと思います。

そのお気持ちはよくわかります。

僕も精神科医になる前は、精神科の薬はなんか怖くて処方したくないなと思ってましたし。

でも、実際に精神科になると、

たつみ

お薬の方が安全だな

というふうに思うことが多いです。

正確には安全というか、カウンセリングよりリスクが低いって感じですね。

なぜ薬の方がリスクが低いのか?

これには大きく2つの理由があります

  • 1.薬の効果、副作用は予想しやすい
  • 2.副作用が起きても、飲むのをやめたら元に戻る

この2つです。

薬の反応は予測しやすい

薬の反応は基本的に皆さん共通しています

どれだけ聞くか」や、「薬が合う・合わない」はありますけどね。

お薬の反応が大体同じということは、

治療方針が立てやすいし、何かあった時の対応がしやすい。

ということでもあります。

薬は、飲まなきゃ体からなくなる

精神科の薬だけでなく、高血圧の薬なども毎日飲みますよね。

痛み止めも痛みが強い時は1日3回とか飲むはずです。

それはなぜでしょうか?なぜ毎日飲まなければならないのでしょうか?

薬は飲むのをやめたら、いずれ体からなくなってしまうから

ですよね。

これは、実はとても重要なことなのです。

薬で副作用が出ても、飲むのをやめれば大抵の副作用は時間と共に落ち着きます

そうすることで、副作用が出ても治療をほぼほぼ一から仕切り直すことができます

言葉は、時間をおいても消えない

ここまで読んでいただいた方はご想像がつくかもしれませんが、

カウンセリングはお薬と全く逆なんです。

カウンセリングの結果は予測困難

カウンセリングをした時の反応は色々です。

すんなりと自分の考え方を修正できて元気になる方もいれば、

怒り出したり、泣き出したりして、カウンセリングを続けられなくなる人もいます。

このようにカウンセリングは人によって
どのような結果になるか予想がつかないんですよね。

あとはカウンセラーとの相性や、受ける方の性格によって

そもそもカウンセリングが向いているかどうか、するべき時期なのかも異なります。

一度言われたことは忘れられない

先ほども言いましたが、お薬の治療は仕切り直しが出来ます。

ですが、カウンセリングには完全な仕切り直しはありません

言われたことを完全に忘れることはできないからです。

実際皆さんだってそうではありませんか?

昔、上司や友人、家族に言われた嫌なことを今でも覚えているはずです。

僕も研修医の時に神経内科の指導医にネチネチ言われたことは
今でもたまに思い出して腹が立ちます。

ほんまあいつ許さん。

実際に外来では

〇〇病院の時はおじいちゃん先生に、ひどいことを言われて

たつみ

〇〇病院ってもう10年くらい前に通っていた病院じゃ…

母に子供の時に言われたことをずっと気にしていて

たつみ

親に言われたことって結構残っているよなあ、
もう、ご両親亡くなってるのに…

みたいなことはよくあります。

よく言われる言葉ではありますが

言った側は覚えてないけど、言われた側は一生覚えている

というのは、真理だなと思います。

そして、これはカウンセリングでも同じです。

カウンセラーのふとした一言が、むしろ棘として一生心に刺さることもあります。

だからこそカウンセリングは慎重にする必要があります。

良いカウンセリングができる人は、そんなに多くない

もう一つ、正直にお伝えしたいことがあります。

それは、
質の高いカウンセリングができる人は、決して多くない
という現実です。

これは、他人を批判したいわけではありません。
そして、僕自身も例外ではありません。

僕自身、日々の外来で

たつみ

自分は本当に十分なカウンセリングができているだろうか

と、考えることは多いです。

カウンセリングは患者さんにとってもしんどい

カウンセリングは患者さんにとっても大変なんですよ。

例えば、昔あった辛い話を話すためにはその当時のことを思い出す必要があります。

また、カウンセリングの目的は、自分のある物事への考え方、捉え方を変えることなのですが、

それだって簡単ではありません。

今までの自分の考え方をある種否定するようなことなのですから。

だからこそ、カウンセリングは、ある程度精神状態が安定してからでないと行えないことが多いのです。

統合失調症やうつ病の重症な状態だと心が耐えられないのでカウンセリングはできません。

カウンセリングは、タイミングがとても大切です。

薬か、カウンセリングか、という話ではありません

ここまで読むと、

じゃあ、カウンセリングは危ないからやめた方がいいの?

と思われるかもしれません。

そういう話ではありません。

大切なのは、
その人の状態、その人のタイミングに合っているか
ということです。

つらさが強すぎるときに、
いきなり深いカウンセリングを行うことは、
かえって不安定さを強めてしまうこともあります。

そういうときには、
薬でつらさを下げ、土台を整えることが必要な場合もあります。

おわりに

今回は、カウンセリングについて、精神科医の立場から感じていることを書いてみました。

別に僕ら精神科医の考え方がすべて正しいというつもりはありません。

ただ、

なんであの先生はカウンセリングしてくれないんだろう

と思われることもあるかもしれません。

でもその裏には主治医の考えがあるかもしれないということを
知っていただけたら嬉しいなと思います。

まあ、何も考えずに薬だけ出す精神科医もたまにいるので、
それはそれで問題なのですが。

最後少し話題がずれましたが、今回はカウンセリングについてでした。

ではまた。

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