心療内科と精神科の違い〜診療内容・受診の目安を精神科医が解説

こんにちは、たつみです。
今日はよくいただくご質問のひとつ「心療内科と精神科の違い」についてお話ししてみようと思います。

ネットで調べても情報がバラバラで、「結局どっちに行けばいいの?」と迷ってしまう方も多いと思います。この記事では、基本的な違いと、現状についてお伝えしようと思います。

なるべく公平に中立な立場で書くつもりですが、自分は精神科の人間なので精神科よりの内容になってしまうかもしれません。その点はご了承ください。

目次

精神科が扱う病気

精神科は「心の病気」そのものを専門に診る診療科です。

代表的な病気は、

  • 気分が落ち込む「うつ病
  • もの忘れや混乱が進む「認知症
  • 幻覚や妄想がみられる「統合失調症
  • 注意や気分のコントロールが難しい「発達障害

特に「幻覚・妄想」「自分や他人を傷つけてしまう危険がある」といった症状は精神科の領域になります。

心療内科が扱う病気

心療内科の強みはなんといっても「内科」をベースにしていることです。
内科に対しての深い知識を得た上で、「心を原因とした体の不調」に対して
心理的なアプローチ」と「身体的なアプローチ」の両方をすることができます。

たとえば、

  • ストレスでお腹の調子が悪くなる「過敏性腸症候群
  • 食事や体重に強いこだわりが出る「摂食障害
  • 頭痛、めまい、動悸など検査では異常が見つからないけれど症状が続くケース

こうした病気は「心身症」と呼ばれます。
「体の不調があるけれど、明らかに原因となるものはない。ストレスや心が影響しているかもしれない」

ーそんなときに心療内科は相談先になります。

上の病気に加えて、ストレスが原因で起こることの多いうつ病も心療内科の先生が治療することもあります。

でもSNSとか見ていると
精神科の先生が摂食障害について話したり、
心療内科の先生が発達障害の話をしたりしていて
よくわからないんだけど

おっしゃる通りです‼️

これには大きく3つ理由があります。

  1. そもそも精神科と心療内科は被りが多い
  2. 心療内科の先生が居ないため精神科が見ざるを得ないことがある
  3. 精神科医が心療内科を、心療内科が精神科を名乗っていることがある

この3つについてこれから説明していきます。

そもそも精神科と心療内科は被っているところが多い

これは自分が作った心療内科と精神科がそれぞれ対応可能な病気をまとめた図です。

  • うつ病
  • 双極性障害
  • 不安障害
  • 摂食障害
  • パニック障害

これらの病気に関しては軽症〜中等症であればどちらの科の医師であれど治療は可能です。
重症の場合は、より専門の科で受けることの方が望ましいですね。

心療内科の先生が居ないため精神科が見ざるを得ないことがある

これは結構あることで、正しく心療内科としてトレーニングを受け心療内科の先生というのは、実はそこまで多くはありません。

一方精神科医は比較的全国に一定数います。

心療内科の先生が見た方が良いのだけど、心療内科の先生が居ないため、
やむを得ず精神科で重度の摂食障害の方を見ざるを得ないという実情があります。

精神科医が心療内科を、心療内科が精神科を名乗っていることがある

正直なところ、これが一番の問題です。
街中のクリニックを見てみると、「〇〇メンタルクリニック(心療内科・精神科)」と両方の科を掲げているところが多いですよね。

これは精神科だけではありません、心療内科の先生も同じようなことをしています。
なぜこのようなことをするのか、それは当然「患者さんに来てもらうため」です。

精神科が心療内科を名乗る→精神科より心療内科の方が受診のハードルが低く患者さんが来やすい。
心療内科が精神科も名乗る→精神的な問題にも対応できることを示す。

これはもう、どっか国の方で制限を掛けてほしいなとは思います。

まあ自分が開業するとしても多分そのようにするので、偉そうに批判するつもりはありません。

見分けるヒント

じゃあ、行こうとしているクリニックがどっちが専門なのか
わからないってこと?

たつみ

100%ではありませんが、見分けるコツはあります。

ひとつの目安になるのが「院長先生の経歴」です。
ホームページには多くの場合、その病院の院長先生の経歴が書いてあります。
その中には大体ですが「〇〇病院 〇〇科 入局(あるいは所属)」 みたいな記載があると思います。

そこを見て、

  • 「〇〇病院 精神科 入局」 → 精神科出身
  • 「〇〇病院 心療内科 入局」 → 心療内科出身

という風にわかります。たまに大学病院に所属しない先生もいらっしゃいますがこの場合も同様で、
勤務歴を見て、精神科病院での勤務が長ければ精神科出身、心療内科の勤務歴が長ければ心療内科出身という風に判断できます。

ただし、精神科病院の勤務が2、3年しかない先生の場合は注意が必要です。
心療内科の先生が、開業する前に2,3年間だけ精神科病院に勤務することがあるからです。
これには事情があるのですが、長くなるのでこの記事では書きません。

おわりに

如何だったでしょうか。なんとなく雰囲気はつかめましたか?
最後に簡単にまとめると

体の症状が中心
→ 検査で異常がないのに「胃が痛い」「お腹の調子が悪い」「頭痛や動悸が続く」といった場合は、まずは心療内科が向いています。

心の症状が中心
→ 気分が落ち込む、意欲が出ない、不安で動けないといった場合は精神科が向いています。

危険を伴う症状がある
→ 妄想や幻覚がある、自分を傷つけてしまいそう、他人を傷つけてしまうかもしれない…こうした場合は迷わず精神科を受診してください。

となります。

ただまあ正直クリニックであればどちらを受診しても大きく問題はありません。必要があれば適切な診療科に紹介してくれますから。

迷った時は「とりあえず相談」をお勧めします。別に怒られることはありませんから。

ではまた。

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