双極性障害とクライシスプラン 〜前兆に気づいて、安心の備えを〜

こんにちは、たつみです。
「クライシスプラン」という言葉を皆さんは聞いたことがありますか?

体調を崩すとき、多くの人は「急に悪くなった」と感じるかもしれません。
でもよく振り返ってみると、眠れなかったり、イライラが増えたりといった小さな変化が先にあるものです。
そうした前兆を整理し、どう対応するかを決めておくのが「クライシスプラン」です。

是非この記事で知っていただけたらと思います。

目次

クライシスプランとは?

クライシスプランとは、

自分がどんな状態になると調子を崩しやすいのか をあらかじめ整理し、
どう対応したらよいか を事前に考えておくことで、病気の悪化を防ぐための計画です。

双極性障害は気分の波が大きく、再発をくり返しやすい病気です。
ただし、ほとんどの場合「急に悪くなる」のではなく、本格的に調子を崩す前に小さな前兆(サイン)あります。

たとえば、

  • 眠りが浅くなる
  • 気分が落ち着かない
  • 集中できない
  • 些細なことでイライラしやすくなる

といった、日常生活の中に見られるちょっとした変化です。

こうした変化に気づかず放置してしまうと、気分の波が一気に大きくなり、うつや躁のエピソードへと発展してしまうことがあります。
そこで役立つのが「クライシスプラン」。自分や家族が前兆に気づき、早めに対応できるようにするためのツールです。

クライシスプランはどのようなもの?

これは住友製薬が医療者向けに配布しているクライシスプランの雛形です。
大体どこの病院でもこれに書き込む形でプランを作っています。

クライシスプランは、ふだんの生活を「安定 (青)→ 注意(黄) → 要注意(赤)」と信号のように段階を分けて考えます。そしてその状態に応じて、患者さん自身がどう対処するか、支援者はどう対応するかを決めていきます。

安定した状態(青信号)

普段通りの自分で過ごせる良い状態のことです。

  • 笑顔でいられる
  • しっかり眠れている
  • 食事がおいしい
  • 仕事や家事がスムーズに進む

この段階では「規則正しい生活を続ける」「休養をきちんと取る」といった良い状態を維持する工夫が大切です。
支援者の方はこの段階では特に何かすることはないんじゃないかなと思います。
あえて言えば「一緒に楽しい時間を過ごす」とかでしょうか。

注意状態(黄色信号)

ちょっとした変化が見られる段階です。
クライシスプランが大切なのは、病気が悪化する前のこの状態に気づけるようになることです。
この状態に気づいてすぐに対処することで、本格的に病気が悪化を防げます。

  • 眠りが浅い、5時間以下しか眠れない
  • 忘れ物やミスが増える
  • イライラすることが増える
  • 気分が落ち着かず焦りやすい
  • お金遣いが荒くなる

この段階では「意識して早めに休む」「仕事から離れる時間を設ける」など、ストレスから少しでも離れる時間を設けたり、「主治医に相談する」という早めに主治医や周りの人に今少し自分の状態が良くないことを共有しておくことが大事です。

支援者は「休めるように家事を代わりにする」「休むように声掛けをする」「病院の受診を」

要注意状態(赤信号)

本格的に悪化する前、あるいは悪化した状態です。

  • 仕事や学校に行きたくない
  • イライラが強くて家族に悪口を言ってしまう
  • 食欲が極端に変化する
  • 記録や日常の作業ができなくなる
  • 不安で涙が止まらなくなる

この状態になったら「早めに外来を受診する」「1人で過ごさないように家族に見守ってもらう」や、場合によっては「入院」など、早めの支援や治療が必要になります。

この段階は支援者の方の対応がとても大事です。本人は大丈夫と言っていても是非病院に連れて来ていただけたらと思います。

支援者って?

支援者はどのでも構いません。
医療に関して言えば、主治医の名前を書けば良いと思います。

書けるような人いないんだけど…

たつみ

勿論そのような方も居らっしゃいます。
仮に僕が作成するとしても、独身ですし家族は遠方なので書ける人はいません。

皆さんが常に家族が近くに居るわけではありませんからね。
その場合は訪問看護等の支援サービスを利用したり、あるいは職場の同僚や上司に相談することも一つですね。

クライシスプランって本当に意味があるの?

クライシスプランって作っても意味あるの?
別に治療ではないのよね?
そんなに効果あると思えないんだけど…

たつみ

そう思われるのは当然です。
ですがクライシスプランの効果は複数の論文で実証されています。

海外の研究で、クライシスプランを作った人はそうでない人に比べて、

  • 強制的に入院になるリスクが半分ほどに減った
  • 入院したとしても、より短い期間で済むことが多かった
  • 自殺のリスクが下がった

といった効果が報告されています。

つまり、クライシスプランは単なる「頭の中の準備」ではなく、実際に再発や入院を減らすことに役立つ方法であると科学的に示されています。

クライシスプランを作る時に、自分の病気、症状について深く考えると思います。
そうすることで客観的な自分が生まれ、症状が悪くなっときに一気に病気に引っ張られるということがなくなるのではないかと思います。

またプランを作成することで、自分だけでなく支援者にも病状を共有することが出来るので、安心感が得られるところも大きいでしょう。

クライシスプランは、作った後も、作る過程も極めて重要なのです。

おわりに

クライシスプランは「安心のためのお守り」です。

  • 自分の変化を知ること
  • 早めに対応できるよう準備すること
  • 周囲と共有して、安心して生活できるようにすること

これらを作る過程を通して、より自分の病気について知ることができますし、
支援者と病気について話し合う機会が生まれます。

病気のことを家族とは言え他人に話すことに不安があるかもしれません。
短時間で今すぐに作ってくださいというつもりはありません。
それぞれのペースで試してみてください。

また、クライシスプランは双極性障害だけでなく、うつ病、統合失調症でも利用できます。
是非ご活用ください。

ではまた。

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