
こんにちは、たつみです。
前回の記事では「認知症かな?と思った時に、どこを受診したらいいか」についてお話ししました。
今回は、そもそも「どんな症状がでたら認知症を疑うの?」ということについて、少し詳しくお伝えできればと思います。
認知症の症状って? 〜もしかして…と思えるように〜
「認知症の症状はなんでしょう?」と患者さんに尋ねると、まず間違いなく「もの忘れです」という回答がきます。
正解です‼️
認知症の症状はもの忘れです。ただ全ての症状がもの忘れではありません。
年取ったら忘れるのって当然じゃない?
「同じ話を何度もしてしまう」
「買い物に行ったのに迷ってしまったから迎えに行った」
これらの症状が出た時、最初はみんな「年のせい」と思われますよね。

でも年のせいと認知症ってどう違うの?



そこは結構見分けが難しいのですが、一応忘れ方の特徴が違うと言われています。
完全に「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」は難しいのですが、
加齢によるもの忘れは「覚えたことを思い出すのが難しい」
認知症によるもの忘れは「そもそも新しいことを覚えるのが難しい」
となります。
専門的な表現をするならば、加齢によるもの忘れは「想起」が障害され、認知症は「記銘」が障害されます。
知っておこう!記憶の3ステップ
想起や記銘は記憶というものの大事な要素の一つです。
それぞれのもの忘れの特徴を知る前に、まずは記憶の3ステップについてご説明します。
記憶には
- ものごとを覚える「記銘」
- 覚えた出来事を忘れないようにする「保持」
- 覚えていたことを思い出す「想起」
の3ステップがあります。


イラストにすると上のようなイメージです。
(漢字ミスは許してください。chatGPTは文字の出力がうまくできないのです。泣)
これを勉強に置き換えると
記銘というのは、学校の授業の内容をノートに書きこむことと同じです。
保持は、書いたノートを引き出しやBOXにしまって、きちんと保管しておくことです。
想起とは、その収納したBOXから目的のノートを取り出すことです。
【加齢によるもの忘れ】の特徴
「覚えたことを思い出すのが難しい」をわかりやすくいうと、細かい情報が思い出せない、記憶が歯抜けになるということです。
例えば
- 夕飯を食べたのは覚えているけど、何を食べたかは覚えていない
- 人の名前が出てこなくても、あとで思い出すことができる
- 財布をしまったことは覚えているけど、どこにしまったかを覚えていない
- 基本的に時間や場所はしっかりと覚えている
のような忘れ方が見られます。「何を食べたか」という細かいことは覚えていないものの、「夕飯を食べた」という全体的な流れは覚えているので、本人としても「もの忘れをしている」という自覚があります。
ふとしたことで思い出すことも可能です。
大きな情報は覚えているので、そこまで日常生活に大きな支障はありません。
例えで言えば、「ノートにはしっかり書いたし、BOXにもしまったけれど、どこにしまったのかが思い出せない」といった状態です。
【認知症によるもの忘れ】の特徴
認知症のもの忘れは「新しいことを覚えられない」という記銘の問題です。
つまり認知症の方の場合は「体験そのもの」を丸ごと忘れてしまいます。
例えば
- 夕食を食べたこと自体を忘れる
- 時間や場所の感覚があいまいになる
- 財布や鍵などを自分で別の場所にしまったことを忘れたため、財布を盗まれたと勘違いする
のような,「そもそもその出来事丸々覚えていない」みたいなことが起こります。
これが認知症による物忘れです。そもそも記憶されていないので、思い出すことはありません。
上の例えで行くと、そもそもノートをとっていないといったところですね。
ただこれをご家族、本人が区別する必要はありません。「そんなもんなんだな」くらいに思ってもらえれば良いです。
最後に、両者のもの忘れの違いについてイラストでまとめておきます。


「もの忘れ」だけじゃない、認知症のその他の症状
認知症には複数のタイプがあります。日本人に一番多いのはもの忘れ症状が目立つアルツハイマー型認知症ですが、それ以外の型の認知症はあります。
そして別の型の認知症の場合はもの忘れ以外の症状が最初に現れることがあります。
病名の詳細は別の記事でご紹介しますので、今回は症状の一部だけご紹介します。
- 怒りっぽくなる
- 食事のこだわりが強くなる
- 気分の落ち込みや、楽しんでいた趣味をしなくなる
のような症状がでることがあります。
これらを覚える必要はありません。
以前の本人となんか違うかもと感じたら認知症の可能性あり‼️
このポイントだけでも覚えていただければ十分です。
迷ったら、まず相談を
「これって認知症なの?」と不安に思う時、病院に来るのは怖いですよね。
でも、早めに相談することで、今後の見通しが立てやすくなり、ご本人・ご家族の安心にもつながります。
精神科、もの忘れ外来、神経内科など、相談できる場所はたくさんあります。
前回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
いかがでしたでしょうか?
「もの忘れ=すぐに認知症」ではありませんが、気になる変化があれば、気軽に医療機関を頼っていただければと思います。
今回の記事がお役に立てば幸いです。
ではまた
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