うつ病に「頑張れ」と言うのは良いの?悪いの?

こんにちは、たつみです。

今回は、Xで話題になった投稿から、
「うつ病の人に『頑張れ』と言っていいのか、言ってはいけないのか」
というテーマについて書いてみようと思います。

結論から言うと、多くの精神科医の見解はだいたい一致しているんじゃないかなと思います。

それは、

「うつ病の人に『頑張れ』と言うことは、“ある”」

ということです。

見解というか、ただの事実ですが。

ただ、これをみて

うつ病の人に頑張れって言って良いんだ〜

と思われる方がいるかもしれないので、そこは一旦待ってほしいところです。

僕自身の考えとしては、
「とはいえ、基本は『頑張れ』と言わない方がいい」
と思っています。

他の精神科の先生がどう思っているかは分かりませんけどね。

目次

そもそも、なんでこの話題が出てきたの?

今回のきっかけは、Xで見かけたあるポストでした。

おそらく研修医の先生の投稿だと思いますが、
年配の精神科医が、うつ病の患者さんに対して

「頑張れ」

と声をかけているのを見て、
正直驚いた、という内容でした。

ちなみに僕はこのポストをみて

たつみ

あるあるだなあ。
光景が目に浮かぶよね。

と思っていました。

この研修医の先生が驚いたのには、ちゃんとした背景があります。

医師国家試験には、いわゆる「禁忌肢」と呼ばれる、
「絶対に選んではいけない選択肢」があります。

※ちなみに試験中禁忌肢を3つ選んでしまうと、
他でどれだけ点数を取れていても不合格です。

それくらい受験生泣かせな禁忌肢なのですが、

その中でも特に有名なのが、

  • うつ病の人に「頑張れ」と言うこと
  • 安易に気晴らしをすすめること

です。

だからこそ、その研修医の先生は、
それ、やっていいの?
と感じたのだと思います。

実際、精神科医は「頑張れ」と言うのか?

では実際の臨床ではどうなのか。

精神科医が、うつ病の人に対して
「頑張れ」と言うことはあるのか。

これは最初に書いたように、あります。

もっとも、僕自身は「頑張れ」という言葉を
そのまま使うことは、あまりないんですけどね。

ただ、

たつみ

とりあえず、できそうなところからやってみましょうか

たつみ

一度、気分転換に旅行を考えてみてもいいかもしれませんね

みたいな感じで声かけをしながら、行動を促すことが多いですね。

では、なぜ僕が声かけを進めないのか

それでも僕が、
うつ病の人には、基本的に『頑張れ』や気晴らしをすすめない方がいい
と思っている理由は、主に2つです。

1つ目は、

うつ病という病気というか診断は、思っている以上にややこしいということ。

2つ目は、

「頑張れ」と言った方がいい人と、言わない方がいい人がいること。

この2つです。順にご説明していきますね。

うつ病は、思っているよりずっと複雑

一言で「うつ病」と言っても、その背景は本当にさまざまです。
もうほんっっとうに複雑です

これは、最近の精神科医療の大きな問題なんですけど、

前の病院で、うつ病と診断されています

たつみ

本当にうつ病かな?
発達障害とかパーソナリティ障害の方が大きそうだけどなあ
でも今更診断を変更するのも納得されないだろうなぁ
うつ病のままで進めるしかないかあ。

あるいは、

僕はうつ病だと思います。

たつみ

いや、今の症状とかでいえば、
うつ病以外の可能性もあります。
もう少し様子をみて判断していきましょう。

僕が、うつ病じゃないって言うんですか!?

となることもあります。

最近の精神科医療では、
さまざまな事情から、やむを得ず『うつ病』という診断名が使われる
ことも少なくないんですよ。

休職や、そのための診断書の問題もあり、
「うつ病と診断してほしい」と希望されるケースが増えているのも事実です。

このように「うつ病の診断だけど、本当はうつ病じゃないかもしれない」
みたいな問題があるんですよね。

これは今の精神科医療の大きな問題です。

さらに、うつ病には重症度の違いもあります。

思考がほとんど働かず、
強い希死念慮が続いている重症の方もいれば、
回復に向かいながら、少しずつ日中の活動を増やしていく段階の方もいます。

同じ「うつ病」という診断でも、人それぞれ違うんです。

その違い、見分けられますか?

先ほど挙げたように、

  • 実際にはうつ病かどうか悩ましい人
  • 回復期に入っていて、活動を少しずつ増やしたい人

こういった方に対しては、
「頑張れ」や気晴らしをすすめることが、
プラスに働く場合もあります。

一方で、

  • 重症のうつ病で、日常生活そのものが限界の人

に対しては、
「頑張れ」や気晴らしをすすめることは、
基本的にしませんし、しない方が良いと思っています。

問題は、この
「言った方がいい人」と「言わない方がいい人」を見分けるのが、とても難しい
という点です。

これ本当に難しいんですよ。

少なくとも普段から精神科診療をしていないのであれば見分けはつかないと思います。

家族や友人だって、
近くでずっとみているんだからわかるだろ

たつみ

わからないと思います。
近い存在だからこそ、症状を軽く考えたり
普段の関係性の延長でつい「頑張らなきゃダメだよ」と言って
後でトラブルになるケースがよくあります。

これ実際結構あるんですよ。

回復してから、

あの一番つらい時に、あの人は味方になってくれなかった

と語られることも、外来ではよくあります。

ちなみに個人的な体感としては、奥さんが旦那さんに対してこう述べることと
お子さんがご両親に対して言っていることが多いですね。

だからこそ、基本は「頑張れ」と言わない

ここまで読んで、

じゃあ、どうすればいいの?

と思った方もいると思います。

僕の答えは、とてもシンプルです。

だからこそ、基本は「頑張れ」と言わない。

「頑張れ」という言葉が、
相手にとってプラスになるか、マイナスになるかは、
わからないでしょ?

そして、マイナスに働いたときのダメージは、
想像以上に大きい。

一生言われますよ。誇張じゃなくて

そして

あの時あんなふうに言われて辛かった

今更そんな昔のこと言うなよ

と、第2のトラブルの種になることも多いですね。

ちなみにこれは男女逆のパターンでも当然あります。

皆、なんだかんだ自分は上手くやれると思うもの

でも、そういうデリカシーのない人も居るけど
僕はそんなことしないと思うよ。

たつみ

はい、アウト。

こういう勘違いは皆してしまうものです。
精神科医だってたまにしてしまいます。

人は「自分なら上手くやれる」と思うものです。
特にメンタルヘルス系の問題や人付き合いに関してはね。

でも、そんなことはないですよ。

それで上手くいったことを見たことがないですね。僕は。

もちろん、僕も含めてですよ。

精神科医療で一番大事だと思っていること

少し話がずれたので戻しますが、

僕が精神科医療で一番大事だと思っていることは、

プラスなことをするよりも、マイナスなことをしない

です。

精神疾患の回復は本当にゆっくりで、1日1歩の歩みができれば良い方です。

ただ、下がるのは一瞬で、1回のマイナスで100歩くらい下がります。

元気づけようとしてかけた一言が、
本人の治療を大きく後退させてしまうことは、珍しくありません。

「励ましたつもりだった」
「良かれと思って言った」

というのは、大事な気持ちですが、お気持ちだけに留めておきましょう。

じゃあ、何をすればいいのか

特別な言葉をかける必要はありません。

  • 話を聞く
  • 否定しない
  • 急がせない
  • 決断を迫らない

それだけで、十分なことも多いです。

少なくとも、
「頑張れ」「気晴らししなよ」と言わないことは、
多くの場合で安全な選択だと思います。

プラスにはならないかもしれませんが、マイナスになるよりかは
良いと思います。

おわりに

いかがだったでしょうか。

僕は、一般的なうつ病への理解としては

頑張れや気晴らしは基本は進めない

という理解で良いのではないかと思います。

もし、

最近元気になった気がするし、
遊びに連れて行ってもいいかも?

と迷った時は、主治医に相談してみてください。

もし、気晴らしできる状態であれば

たつみ

全然良いと思います‼️

と主治医が背中を押してくれるはずです。

一人で悩まずにぜひ専門家と一緒に確認していけば大丈夫です。
頭ごなしに否定されることは、ありません。

今回は、うつ病の方への声かけについて書いてみました。

次回はカウンセリングについて、少し思うところを書こうかなと思います。

ではまた。

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